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「20世紀のディケンズ」と言われ、人生の悲劇と喜劇を手品のようにさばく独特の世界観と温かいまなざしで、家族の肖像を描き続けるジョン・アーヴィング。映画化に4年の歳月をかけ、彼の全作品の中で最も情熱を注いだ公言する本作は、自身の自伝的要素を反映させた渾身の最高傑作として全米中の批評家から大絶賛を浴びた。
原作の『未亡人の一年』は、多数の映画化の話にもかかわらずアーヴィングをして「映画化は無理」と言わしめた作品だったが、監督のトッド・ウィリアムズの「前半1/3のみを映画化する」というアイディアと、アーヴィングの精神を丹念に紡ぎ上げた脚本に心動かされ、初めて首を縦に振った作品である。実際、アーヴィング自身が脚本を手がけてアカデミー賞最優秀脚色賞を受賞した「サイダーハウス・ルール」よりも満足している、と多数のインタビューで答えている。
豊かで複雑な登場人物たち、柔らかな日常に潜む棘、手にとって感じられるほどリアルな心のひだを、アーヴィング得意のユーモアのエッセンスを交えて描いた本作は、胸をしめつけるような言葉と映像の数々で心象風景を鮮やかに浮き彫りにする。
アカデミー賞常連の二大スターが贈る、心揺さぶる"大人の男と女"の愛と絆を描いた珠玉の名作誕生!
主演はアカデミー賞に輝くキム・ベイシンガーと、アカデミー賞に4度もノミネートされているジェフ・ブリッジス。アメリカで最も美しく年をとることに成功した女優といわれるキムは、ほとんどの女優が出演を躊躇するといわれた難役を、彼女にしか表現しようのない類の嘆き、悲しみ、香気を漂わせ見事に演じきった。全米の批評家はこぞって「アカデミー賞を受賞した『L.A.コンフィデンシャル』を更に上回る奇跡的演技」と絶賛。
ジェフは、少年性、性的魅力が同居しながらも娘を愛する立派な父親、という複雑な役どころを、愛さずにいられない魅力的な人物像で描き出した。また、ミュージシャンやフォトグラファーとしても活躍する彼は、本作で自身の絵を披露し、その多才振りを発揮した。超一流の俳優同士の一糸乱れぬ完璧な演技とデリケートな感情描写は、心の奥に深く焼き込まれる。 |
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