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1999年、ミン・ビョンチョン監督が撮った一本の映画が、韓国映画界に激震を与えた。原子力潜水艦を描き、韓国ではかつてないアクション映画と激賞された『ユリョン』である。そのミン監督が、5年の沈黙を破って『ナチュラル・シティ』と共に帰ってくる。
『ナチュラル・シティ』は、人間に恋するアンドロイドの女性と、そのアンドロイドを愛した特別捜査官(MP)との悲劇的な愛の物語だ。2人の関係を通して描かれるのは、終末の色が濃い2080年の未来社会である。
ミン監督は、個人的にもSFというジャンルが好きだという。だが彼が未来を舞台にした映画を撮った理由は、それだけではない。人間のもっとも根本的な感情にスポットを当て、時間も空間も越えた純愛を描くには、SFというジャンルが最適だと考えたからだった。その意味では、アクション満載のSF映画でありながら、『ナチュラル・シティ』はじつは切ない恋愛を描いたメロドラマでもあると言える。
『ブレードランナー』『マトリックス』『イノセンス』など数々の傑作を生んできた、「SF」と「ラブ・ロマンス」。映画史が誇る最高のテーマに、世界が注目する韓国映画界が初めて挑んだ。
別世界での愛
あらゆる人間感情の源である、愛。愛を知らない人間は
心に慈しむものもなく、その存在意義を失う。
人間とアンドロイドとの愛を描く『ナチュラル・シティ』は、私たちに愛の大切さを、そして愛する対象と永遠に別れたくないという人間の基本的な本能を教えてくれる。
世界を動かしているのは、偉大な愛の力なのだ。 |
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