ワイルド・タウン/英雄伝説
俺はゆるさねぇ! 男度胸の大勝負。WWEプロレス出身の
骨太男性派アクション映画のスーパースター、
あのザ・ロックが渾身の力を込め、猛々しい雄叫び上げて闘う、
これぞっ男気映画の決定版!




男の名はクリス・ヴォーン。元特殊部隊の精鋭。筋骨隆々たる体を駆使し、幾度となく修羅場をかいくぐってきた。アメリカとカナダ国境沿いの、山間の静かな故郷を飛び出してから二十数年。ようやく帰って来た故郷は、ギャンブルと欲望と陰謀渦巻く不穏な町に変わり果てていた。白昼堂々、町の真ん中でドラッグが売買され、巨大なギャンブル場ではいかさま賭博が堂々と行なわれていた。警察は見て見ぬふり。ギャンブル場を取り仕切るジェイという人物と裏で繋がっていた。ジェイはクリスの旧友だったが...。
 たとえ旧友であっても、不正や悪事を黙って見逃すわけにはいかない。クリスはたった一人、敢然と立ち向かう。愛する家族、自分を育んでくれた故郷を守り続けるため、力の限り闘うのだ。手にするのは銃ではなく、一本の棍棒。クリスが自分自身に課した〈ウォーキング・トール〉堂々と歩け、胸を張って歩いていくという生き方を託した最高の武器だった。

 「ザ・ロックは確固たるスターだ」「ザ・ロックはカリスマだ」「これは凄腕のノンストップ・スリルマシーンだ」「ザ・ロックは善と威厳を兼ね備えたアクション・ヒーローだ」

 全米中が興奮!2004年春に全米2800超のスクリーン数で公開されるや、初登場第2位、興行収入4580万ドルを挙げ、ザ・ロックの人気と実力の高さを誇示するスマッシュ・ヒットを記録した。

 ザ・ロックの主演第3作目となった本作は、1973年に公開された「ウォーキング・トール」(フィル・カールスン監督、ジョン・ドン・ベイカー主演)をもとに、堂々たる風格を持ってリメイクされたアクション快作だ。ザ・ロック扮する主人公クリス・ヴォーンは、テネシー州に実在した保安官ビューフォード・パッサー(1938?1974)をモデルしている。
時代背景を現代に置き換えながらも、73年版に貫かれた「愛する人のために闘う男」の魅力を損なわずに、さらにパワーアップさせた男の本懐、思いの深さ、強さをスクリーンに叩きつけている。ジャンルこそ違うが、本作には、先に日本で公開されたケビン・コスナー監督・主演「ワイルド・レンジ/最後の銃撃」、ジム・カヴィーゼル主演「ハイウェイマン」の2本の快作映画と通じ合う映画的な面白さが脈々と流れている。
スピーディに小気味よく語られるクリス・ヴォーンの闘い。ザ・ロックの鍛え上げられた肉体を通して、ビューフォード・パッサーの誇り高い闘いが甦る。ギャンブル場でのハデな殴り合いから、クリスが屈強な男たちに押えられ深傷を負う前半の見せ場。思わず男の血が騒ぐ鋭い演出に唸り、心躍る。クリスが町の人びとを前に、昔のような静かで住み易い故郷にするため努力を惜しまないと法廷で熱く誓う場面には、思わず涙腺が緩む清々しさにあふれている。

 そして、クライマックスの激闘に、観ながら全身の力がみなぎる興奮を感じさせる。町を牛耳ろうとするジェイとその一味を向こうにまわし、クリスはたとえ体が傷つこうとも、家族を、恋人を、友を守りながら力の限り闘い尽くす。「俺が正義だ!」 町の保安官となったクリスが、故郷と愛する人たちのために、拳を振り上げ、棍棒を手に、不正と悪事と陰謀に敢然と立ち向かっていく。その姿に、男の中の男を見る思いがする。
クリスの親友で、保安官補となっていっしょに闘うレイ役にジョニー・ノックスヴィル、クリスの妹ミシェル役にクリスティン・ウィルソン、その息子ピート役にカレオ・トーマス、クリスの恋人となるデニ役にアシュレイ・スコットが、それぞれ印象的な演技を見せている。
クリスの宿敵となる旧友ジェイ役を演じているのは、デビュー当時のウィレム・デフォーを思わせる強面で、戦争映画の秀作シリーズ「バンド・オブ・ブラザース」の兵士役で一躍注目を集めたニール・マクドノー。クライマックスのクリスとジェイの大格闘シーンでは、ザ・ロックにひけをとらない身のこなし、切れのいい動きで、久々「悪役もスゴい!」と唸らせるアメリカ映画の醍醐味をたっぷりと見せつけている。