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 -- 四国中央市議会 2009年12月議会 一般質問 --
2009年12月議会 一般質問


 議席番号9番、吉田善三郎です。よろしくお願い致します。


 本題に入る前に、ひとつ興味ある話がありますので、お聞き下さい。歴史的にみれば、江戸時代、幕府は借金せずに健全な財政運営だったとの事。しかし一方で、諸藩の台所は火の車だったと言う話です。その理由について、日本史が専門の茨城大学、磯田准教授によりますと、江戸時代当時は、社会保障はわずかでしたし、大型公共事業は大名に押しつけていた。放漫な財政運営で資金が底をつきかけても、豪商などに「御用金」を課して、臨時収入を得た。更に財政が苦しくなると、貨幣の質を落とす改鋳までやったと、まあ身分制度を守りたい幕府の威信がそこにあって、商人に頭を下げるなんど、プライドが許さなかったと分析しています。
 しかし、この様なやり方で幕府は良くても、一方で諸藩大名の財政は火の車だった様です。薩摩藩は、河川の改修工事を命じられるなど出費が重なり、1830年頃には借入金が、500万両に膨らみ、利子だけで年40万両にのぼり、その結果年25万両の収入を上回り、返済不能陥った。そこで薩摩藩はどうしたか。薩摩藩は向こう250年の分割払いにすると債権者に通告。実質的に借金を踏み倒し、用立てていた大阪の豪商は相次ぎ倒産したとの事です。
 収入の20年分の借金をして、その果てに経済を混乱に陥れてしまったと言う、この薩摩藩のケースは、私達に大いに教訓を与えてくれていると思います。
 いつの時代も、借金に過度に頼らない、借金に依存しすぎない財政運営を心掛けるべきだと思います。


それでは、江戸時代の話は、これで終わるとして、通告に従いまして質問させて頂きます。


最初の質問は、来年度予算編成方針は、どの様になっているか。立案の時期、その規模と内容、特筆すべき方針について質問をさせて頂きます。
今年度も早いもので、8カ月が経過し、そろそろ来年度予算編成の時期がやってまいりました。これまでも当市では合併以来、財政調整基金の繰り入れに頼るなど、綱渡りの財政運営を続けて参りましたが、平成22年度予算を編成していく上で、なお一層の努力と覚悟が求められるところでございます。したがって、既成概念や前例に捉われることなく各部局が所管する事業について、緊急性や必要性の観点から徹底した見直しを行うなどして、来年度予算についても、取り組んでいくことが重要だと思います。

 地方自治体においては、次年度予算編成方針は、通常新年度スタート前の3月議会において、その全容が明らかになりますが、正直なところ次年度の予算をどの様に編成していくのかと言う重要な方針については、本来時期的に考えても、この11月、12月にはきちっと庁内、あるいは関係者に示され、その方針に沿って段階的に形づくられていくべきものであると思うのであります。
 そこで、お伺いいたします。今年は政権交代があり、それだけに不確定要素も多いかと思いますが、当市の次年度予算編成にあたり、来年度の歳入面において、市民税や固定資産税の市税、あるいは地方交付税や国庫支出金、県支出金について、予測をどの様にたてているのか、また歳出面においては、「選択と集中」をどの様に図り、重要な施策を実現して行こうとして行くのかを、お聞きしたいと思います。

時あたかも、先日11月26日に、「四国中央市後期基本計画」の素案が示されました。その中の基本的な考え方として、今後の5年間について前期基本計画を点検のうえ、統廃合計画などを踏まえ、集中と選択に視点を置きながら、未着手事業については緊急性の高いものや、より具現性のある事業を抽出し、新規事業としては、安心・安全の事業を中心に進めていきたいとしています。その後期基本計画のスタート年度が来年度平成22年度と言うことです。
以上の様な事を踏まえた上で、来年度予算編成方針の基本的な考え方、施策の方向性など、どの様になっているのか、お伺いいたします。
また庁内では、その来年度予算編成方針がいつ頃、どの様な形で示され、予算がどの様なプロセスで組まれていくのかもお伺いできたらと思います。


次に二つ目の質問は、当市の財政状況判断についてです。10月1日、国際通貨基金が発表した世界経済見通しによると、平成21年度の我が国の経済成長率は対前年度比5.4%のマイナス成長になると予想が示され、失業率も更に高まり、当面の間デフレ傾向が続くと言う大変厳しいものとなっております。
 折しも先日、当市の財政状況が示されたわけですが、当市においても、その内容は依然として苦しい財政運営状況にあると言えます。当市の財政状況報告書によりますと、国の財政状況判断指標である、実質赤字比率と連結実質赤字比率については、赤字ではないと言う状況ですが、実質公債費比率は早期健全化基準の25%には達していないものの、20.2%と悪く、これは愛媛県下11市の中でも大洲市に次いでワースト2に甘んじております。また将来負担すべき負債の大きさを示す将来負担比率は、244.4%と、これについては県下ワースト1と言うことですので、当市の財政状況は依然として厳しいと言えます。

更に、平成20年度末の財政調整基金残高については、金額的にも底をついてる状況で、標準財政規模に対するパーセンテージも2.2%と、悲しいかな愛媛県下で最下位の成績と言うことになっている様です。
その様な中で、この度国では、財務相の諮問機関である財政制度等審議会の財政投融資分科会が7月31日、財務内容の悪化した自治体に対して、事前警告する制度の導入を求めると言う内容の報告書を発表しました。8月1日付けの日本経済新聞によりますと、これは地方財政の仕組みに責任を持つ総務省とは別に、財務省が財務省独自に自治体の財政悪化の兆しを把握し、破綻を予防して行こうする狙いがあるとの事です。要するに財務省は返済能力に懸念のある自治体に政府が融資し、返済が滞れば国民不安に繋がりかねないと判断していると言うわけです。
そこで今回、財務相の諮問機関である財政投融資分科会が提唱した、自治体の財政状況を把握する為の新しい指標で当市をチェックしてみたら、一体どうなるか、その点をお聞きするものであります。
では、今回の財務省の新しい指標と言うのは、どの様なものなのか。これらは総務省のモノサシとは角度の違ったものであって、主に自治体の債務返済力をはかる指標であると言う特徴があろうかと思います。その指標、以下四つ程示されております。まずひとつ目は、「行政経常収支比率」と言うものですが、これは収入からどの程度、借金の返済原資を生み出しているかと言う指標です。二つ目は、収入何カ月分に当たる積立金があるかのと言う「積立金等月収倍率」です。この積立金については、当市では確か平成20年度については、合併後初めて財政調整基金からの繰り入れなしで乗り越えられた様ですが、積立金は、合併時からここまで、かなり取り崩しているのではないかと思われます。三つ目は、収入何カ月分に当たる借金があるかの「実質債務月収倍率」と言うものです。そして四つ目は、1年間で生み出される返済原資の何倍の借金を抱えているかと言う「債務償還可能年数」と言う以上四つの指標です。これら四つの指標について、当市の状況をはかったならば、どの様なものになるのか、出てきた数字、その数字が基準値と比較して、当市の財政状況が良いのか悪いのか、その状況評価を私達に分かりやすく、お聞かせ願えたらと思います。


 次に三つ目の質問は、予算制度に関するものです。当市においては、これからも厳しい財政運営が迫られる中で、限られた財源を有効に活用する為にも、インセンティブ予算制度なるものを導入してみてはどうか、と言う提言についてです。
「インセンティブ」と言う言葉は、あまり聞きなれない言葉ではありますが、通常「奨励」や「報奨」、「ごほうび」と言った意味の英語であり、「インセンティブ予算制度」となれば、さしづめ「奨励金付き予算制度」と言ったところでしょうか。更に申し上げれば、予算執行段階において、市民サービスを低下させずに、職員の自発的な創意工夫による歳出の節減、あるいは歳入の増収を行った部局に対して、その捻出経費の一部を翌年度予算で優先的に追加配分すると言う予算制度であると、理解しております。
 実は私が、議員になって一番最初に疑問に思ったのは、全国ほとんどの自治体で採用している「単年度予算制度」なるものです。これは年度内に予算を使い切る事が前提の予算制度です。だからもし、その部局で年度内に予算を使い切ることが出来ずに余してしまった場合、その予算は必要がなかった、或いは予算査定が甘かったとされ、次年度で減らされる事につながる、とされています。予算は一方では権限をも含んでいる訳ですから、余すことなく、取りあえず全部使ってしまえとなり、それが年度末に駆け込み的に予算を消化してしまうことになり、それが税金の無駄使いにつながっているのではないかと、批判されている側面があります。無理してでも予算は年度内に使い切ると言うやり方、これはどうにかならないものかと思っておりました。
 それでは、全国的に他の自治体を見てみて、単年度予算方式ではなくて、何か工夫してやっているところはないのか、と思って色々調べてみたら、やっぱりありました。例えば、広島県三次市は、創意工夫によるコスト縮減に努力した場合には、次年度以降の予算編成の為の財源として、当該部局に還元する事にしています。そうする事によって、「予算は使い切るもの」と言う従来の発想、固定観念を打ち破り、無駄な支出をなくするとともに、職員に経費節減の努力を促し、コスト意識、経営感覚を高めるとしています。
旭川市のインセンティブ予算制度においては、想定される具体的な取り組みの例示として、工事等の工法の見直しや、事務事業の整理・統合による経費縮減、あるいはパンフレット等印刷物の仕様の見直しなどを挙げております。
 平成20年度から制度導入を始めた北広島市では、インセンティブ(奨励金)として付与された財源は、各部の自由裁量により市民サービスの向上につながる事業に使えるとしています。
 その他、市川市、福岡市、熊本市、横浜市、浜松市、京都市、佐賀市など、ここ最近になってインセンティブ予算制度を導入する自治体が、かなり増えて来ております。中でも浜松市では、平成14年度から「予算を活かすインセンティブ」浜松方式として導入し、かなりの成果を上げている様です。ちなみに浜松市の平成18年度のインセンティブ付与額は、425件の2億6000万円と報告されております。
 以上のように、予算は慎重に工夫して使われてこそ、市民の皆さんの血税の価値が出てくるものだと思います。今後は、予算は年度末になって余ったとしても、使い切るのではなくて、次年度で有効に使っていく制度、つまり「インセンティブ予算制度」を採用していくことを、考えてみてはどうか、と思うのですが如何でしょうか。この制度のメリットとディメリットの両面についての評価を含めて、理事者のお考えをお伺い出来たらと思います。


 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。




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